だるねこ日記 2冊目

SPARKS GOGOのLIVEレポ&日記

たいがー・りー「余白/個展」@下北沢


↑好きな女子のくしゃみ


東京2日目のはなし

LIVE翌日はたいがー・りーの初個展へ
ちょうど日程が合ってラッキー♪

しかし「出張→LIVE→個展」とハードスケジュールだわ
前日から突然アレルギーが出てマスクが手放せないほど顔がボロボロだし


場所は下北沢の小さなギャラリー「Geki」
6畳ほどのスペースにたいがーちゃんの作品が並べられていた

たいがー・りーはカテゴリ的にはお笑い芸人で(元エンタ芸人)、
たまに妙な発明品を作ってはLIVEで発表するというパフォーマンスをしている

今回の個展では「放課後片想い系妄想発明家」と名乗ってるみたい
いやー これ以上ぴったりの肩書きはないな~


ギャラリーに入って最初に目に入った作品は、絵の具を散らした抽象画。
タイトルは『君は好きな女子のくしゃみを見たいと思ったことはないか?』

たいがー本人が在廊していていろいろ説明してくれたのだが、
この作品は、白い画用紙の手前に絵の具を塗った網をセットして、その前に立って実際に女性にくしゃみをしてもらって作ったもの。
だからその抽象画は「具象化した好きな女子のくしゃみ」なわけだ
ポイントはその女性がたいがーが現在リアルに好きな人であるというとこ(注:彼女ではない)



また別の作品は、切り貼りした文字で作られた(脅迫状のような)ラブレター

これもたいがーがリアルに好きな女性が高校時代に実際に使っていた自筆ノートを入手して、
そこから一文字一文字切り抜いてツギハギして自分へのラブレターを自作したもの

◯たいがー 「こうすると、高校時代の彼女が僕宛にラブレターを出したことになりませんか??」

熱く語るたいがーちゃん


分からん!!(笑)
でも分からんけど分かる! 分かる気がする!

「好き」がもう一周しちゃって、もはや彼が愛してるのは好きな女子そのものではなく
「好きな女子の痕跡」だ
いやー たいがーワールドだわ~

「なんかキモチわるっ」と切り捨てるのは簡単だけど、
作品を構成する果てしないロマンチシズム、センチメンタリズムを考えると気が遠くなりそうだぜ


彼の作品を否定できないのは、大きく分ければ私も「そっち側(片想い系)」の人間だからかな

話はそれるけど、若いころ本屋で立ち読みしてたらわりと強引にナンパしてきた男がいて、
別にチャラい感じでもなかったので不思議に思って「なぜ声を掛けたのか?」と聞いてみた

「きれいな人だなと思って声をかけた。このままだとただの本屋の客同士でもう二度と会うことはないけど、今ここで声をかけたらそこから何かはじまるかもしれない。ダメなら別にそれでいいし。いつも俺は後悔しないようにしているんだ」
だそうです

なんつーガッツだ
「こっち側」の私にはまったくない発想だったのですごいびっくりした
(注:何もはじまりませんでした)

こういう人は「あっち側」の人ですね
思考と行動が現実的で、明るい自信とタフな心を持ち合わせているリア充というか…
たいがーの作品を見ても全く意味がわからないんじゃないだろうか

一方「こっち側」の人はむしろ見てるだけで幸せとか言っちゃう感じ
まあ早く言えばヘタレってやつかもしれない(笑)


そんな「こっち側」の人向けなたいがー作品がいろいろ

◯「女子用壁ドン体験マシーン」「好きな人と肩が触れ合うハンガー」などドキドキを疑似体験をするシリーズ
◯実際の高校生の部活の声などを採集してサンプリングする青春の生音シリーズ
◯前述のくしゃみ画やツギハギラブレターなど自分の思慕の念を視覚化するシリーズ
などなど…

いやーおもしろい♪
中高生男子のまぼろしの青春を具現化する作業をしているとでも言えばいいのだろうか…
実際、ギャラリーに見に来ていた20~30代の男子は盛り上がっていた

女側から見ると、好きな女子への憧れが強すぎて変態的に感じる作品が多いけど、
嫌悪感がないのは直接的なエロを感じさせないからかな
あと、たいがー本人が結構ハンサムなのにナルシシズムに無縁ぽく、人が良さそうなのもあるかも



ずうずうしくも長時間滞在していろいろ本人に話が聞けて
(というか本人に解説してもらわないと作品見ただけじゃ何のこっちゃ訳が分からない)、
すっごいおもしろかった!
来てよかった~♪


しかしこういう活動って何のジャンルに入るんだろう
やってることはすっごいアホでくだらないことなんだけど、どこかアーティスティックなにおいがする
お笑いというより現代アートの領域だと思うけど

ラーメンズ小林賢太郎片桐仁はお笑いカテゴリーなのかな
それよりも明和電機とかの立ち位置に近い感じか

おもしろいアイディアがいくつもあったので商品化して欲しいなー



個展は15日までやってるそうので「こっち側」のヒマな人はゼヒ