だるねこ日記 2冊目

SPARKS GOGOのLIVEレポ&日記

鬼滅の刃考(コミック&映画編)

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ものすごーーく遅ればせながら、鬼滅の刃のコミックス全巻を読んでさらに映画を見てきました
去年から普通に生活していても、切れ切れに情報が入ってきてうっとおしかったので、これで全容が明らかに!
ちなみにテレビアニメは苦手なので1度チラ見した程度

コミックスを読んだところ、鬼滅の刃は普通のジャンプの王道漫画ですね

まっすぐな性格の少年の炭治郎(主人公)
家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹の禰豆子(ねずこ)は半分鬼になってしまった
妹を鬼から人間に戻すために、強大な鬼の「無惨」に立ち向かう炭治郎
同じ目的に向かって修行する鬼殺隊の心強い仲間や先輩たち
そして最後はみんなで力を合わせて敵である無惨を見事倒します
めでたしめでたし♪

ほんと普通ですね
敵の特性も、不老不死で妖術も操るが日光または首を斬ることで死ぬというドラキュラ方式で特に珍しくもないし

しかしその普通の王道漫画がここまで大ヒットした理由を考察してみました!

▶︎コロナ禍でみんな時間を持て余していた
とにかく漫画を読む時間が、アニメを通して見る時間があった
→十分に予習した上で映画へ話が繋がる

▶︎大正時代という設定が珍しい
大正モダンファッションはかわいい!
古くは「はいからさんが通る」とかもですが、着物+洋装の過渡期はほんとかわいいですね〜
禰豆子や炭治郎の着物柄は伝統的な古典模様ですが、若い子の目には新鮮なのかもしれません
鬼殺隊の制服も学生服+羽織みたいでイカしてます

▶︎キャラクターデザインがかわいい
着物も含め禰豆子はめちゃくちゃかわいい
炭治郎は主人公ながら顔にあざがあるというのも変わってていいですね
作者が女性のせいか、女性キャラが皆かわいくて自立しているのも好感
敵方の無惨様も美青年です
変身後のおどろおどろしい姿もかっこいい

▶︎エログロ猟奇趣味が微妙に入っている
禰豆子が竹で猿ぐつわをかまされている!(SMだ!)
美少女(禰豆子)が箱に入っている!(京極夏彦だ!)
美少女が蜘蛛の糸で逆さ吊りにされたり、美女が帯で吊るされるシーンが!
敵も味方も首がばんばん飛ぶ!

いや~ この微妙な江戸川乱歩感がいいですね
中2病ごころをくすぐられます
子供が変な性癖にめざめませんよーに

▶︎漫画原作が23巻でいさぎよく完結
全巻買っても1万円でおつりがくる短さ
大人買いは楽勝だし、お年玉で子供でも買えそう
ジャンプにしては珍しく、編集部による引き伸ばし工作がありません
むしろ話をはしょりすぎて、作者が空いたページに文章で補足しているほど
読者としては逆に渇望感で「外伝を出して~」という気分になります

▶︎炭治郎がいい子
炭治郎がとても家族思いで素直ないい子なんです

ジャンプの主人公といえば悟空やHUNTER×HUNTERのゴン、ルフィなどが思い浮かびます
彼らも一見素直でいい子そうに見えます
でもよ〜く考えると、彼らは正義や大事な人のために戦っているというより、自分の楽しみのため戦っている部分が大きい気がします(一応大義名分を掲げてはいますが)
悟空なんか強大な敵と相対すると「オラ、ワクワクしてきたぞ!」とか言ってますし
地球の存亡がかかってるっちゅーに
とんだサイコパス野郎です
ゴンも同じ(ルフィはいまいち本心が読めない)
彼らはどっちかっていうと命を賭けたバトルが趣味のヒソカに近い精神構造な気がします
むしろ登場時に冷酷だったベジータやキルアは、生育環境の犠牲者なだけで感性はまともです
家族思いだし

悟空やゴンは平和時でも内心では戦いを欲しているバトルフリークですが、炭治郎には明確な戦う目的があります
「強い鬼と戦って妹を人間に戻す情報を得ること」です

ここがポイントなんですが、炭治郎は家族を惨殺された恨みを晴らすために戦っているのではありません
あくまで妹を取り戻す手段として戦う

禰豆子も殺されていたら、炭治郎は剣をとっていなかったかもしれません
それはただの復讐だから(ここが進撃の巨人のエレンと違うとこ)
実際、無惨を討ち果たし禰豆子が人間に戻ったあとは、剣は捨てて炭焼きに戻っていると思われます
禰豆子が恋人ではなく妹であるとこも、子供にも理解しやすく、生々しくなくていいですね

▶︎炭治郎が普通の子である
ジャンプの主人公は最後に結局は血統に頼ることが多い気がします
王子だった、宇宙人だった、父親や祖先がすごい人だったとか
所詮は血かよ…と思うと一気につまらないですね

炭治郎は正真正銘炭焼き職人の子です
山育ちで嗅覚がするどいという設定くらい
基本的には努力ですべておぎないます
そりゃ子供たちに支持されるわな

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 ここからは映画の話

映画では炭治郎と仲間たちは鬼が出るという無限列車に乗り込み、鬼を退治しに行きます
そこで合流したのが「柱」である煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)

柱というのは鬼殺隊の上級幹部です
またこの「柱」というネーミングがすばらしいですね
強く支えるという意味に加え、神様を「一柱」「二柱」と数えるように、神に近い力を持つものとしての意味もあると思われます

仲間みんなで協力し無限列車の鬼を退治し、大団円と思われたのですが、その直後にとつじょ敵側の上級幹部の鬼の猗窩座 (あかざ)が現れます
強大な敵を前にして修行途中の炭治郎たちはなすすべもなく、柱の煉獄さんがひとりで相対します
剣術では煉獄さんの方が勝っているのですが、なにせ相手は傷を一瞬で治し、手や足も自在に生やす治癒力を持ってる上級鬼
いいところまで追い詰めるものの最後は取り逃がし、煉獄さんは命を落とします

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ここがまた映画が絶大に支持されたポイントなのですが、煉獄さんのキャラが炭治郎に輪をかけてまっすぐなのです

煉獄さんは母の遺言「生まれながらに才や力のある者は、それを弱き人のために使わなければならない」という言葉のまま生きます
敵側に勧誘されるほど練られた剣技、状況判断の速さ、危険な場面で自分が多く負荷を担うことを厭わない男気、大雑把で豪快だが面倒見のよい明快な性格

「俺は俺の責務を全うする。誰も死なせない」
「俺がここで死ぬことは気にするな。柱ならば後輩の盾になるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じことをする。若い芽は摘ませない」
「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け」

名ゼリフ多すぎ
煉獄さんには迷いがありません
これは惚れますね

煉獄さんが死ぬのはコミックスでいえば6、7巻あたりでいわば序盤なのですが、「心を燃やせ」という言葉は最後まで炭治郎に大きく影響します

やっぱりあれですよ
みんなコロナで疲れてるんだと思います
そしてちょっと社会が複雑に繊細になりすぎて精神が疲弊しきってるんですよ
だから炭治郎や煉獄さんの生き様がことさら心に刺さったのだと思います

私ももういい大人なので「王道のジャンプ漫画だな~」とややひねくれた視線で読みましたが、炭治郎や煉獄さんのまっすぐさや明快さに、何か忘れていた正解を得たような気がしました

ごちゃごちゃ考えるよりも、おのれの為すべきことを見つけそれを愚直にこなすこと
人の一生なんてそれで十分じゃないでしょうか
いつも心に煉獄さんを!